はじめに:このブログ記事について
この記事は、既存のWindows + Ubuntuデュアルブート環境から、UbuntuをPop!_OSに入れ替えようとして様々なトラブルに遭遇し、最終的にUbuntu 25.10に落ち着くまでの 試行錯誤の完全記録 です。
この記事で分かること:
- Pop!_OSインストール時の落とし穴
- EFIパーティションサイズ問題の解決方法
- Pop!_OSでデュアルブートを実現する実用的な方法
- systemd-boot vs GRUBの違い
- 古いNVIDIA GPU(Pascal世代)の対応状況
- デュアルブート環境で本当に使いやすいディストリビューションの選び方
こんな方におすすめ:
- デュアルブート環境を構築したい方
- Pop!_OSとUbuntuで迷っている方
- NVIDIA GPU(特にGTX 10シリーズ)でLinuxを使いたい方
- Linux初心者で、トラブルを避けたい方
1. 作業の出発点:環境と目的
目的
既存のWindows + Ubuntuデュアルブート環境から、Ubuntuのみを削除してPop!_OSに入れ替える ことが当初の目標でした。
PC環境
- OS: Windows + Ubuntu デュアルブート
- GPU: NVIDIA GeForce GTX 1070 Ti(Pascal世代)
- ストレージ: GPTパーティション構成
- パーティション構成:
| デバイス | サイズ | FS | 用途 |
|---|---|---|---|
| /dev/sda1 | 105MB | vfat | Windows EFI |
| /dev/sda2 | – | NTFS | Windows本体 |
| /dev/sda5 | – | ext4 | Ubuntu(削除予定) |
2. Pop!_OSインストールの試行錯誤
Phase 1: セキュアブートの壁
試行内容
Pop!_OSには2種類のISOがあります:
- Intel/AMD版(通常版)
- NVIDIA版(専用ドライバー同梱)
GTX 1070 Tiを搭載しているため、当然NVIDIA版を選択しました。
しかし、インストール前に気づいたのは、Pop!_OSはセキュアブートに対応していないという点です。
解決方法:
BIOS/UEFI設定でセキュアブートを無効化する必要がありました。
重要ポイント: Ubuntu 25.10はセキュアブートに対応しているため、セキュリティを重視する場合はこの時点でPop!_OSの選択を再考する価値があります。
Phase 2: インストーラー起動失敗
症状
USBメモリから起動しても、インストーラーが正常に起動しません。ターミナルから手動起動を試みると:
Segmentation fault
Input/output error
このようなエラーが表示されました。
原因と対策
原因: ISOイメージの破損またはUSBメモリの書き込み不良
対策:
# ISOイメージの完全性を確認
sha256sum pop-os_22.04_amd64_nvidia_*.iso
# 公式サイトのハッシュ値と照合
さらに、USB書き込みツールを Rufus から balenaEtcher に変更したところ、問題が解消しました。
教訓: ISOダウンロード後は必ずハッシュ値を確認しましょう。これだけで多くのトラブルを防げます。
Phase 3: パーティション設定エラー
症状
インストーラーは起動するようになりましたが、カスタムパーティション設定画面で以下のエラーが表示されました:
Invalid file system for root
古いUbuntu領域(/dev/sda5)をRoot (/) に設定しようとしても、先に進めません。
原因調査
様々な可能性を検討しました:
- UEFIモード不一致? → balenaEtcherで解消済み
- ブートメニュー選択ミス? → 起動時に
UEFI:付きのUSBを選択済み - 【決定的な原因】: EFIパーティションサイズ不足
3. EFIパーティション問題の深堀り
問題の核心
Pop!_OSのインストーラーには、他のディストリビューションとは異なる要求があります:
| 項目 | 要求サイズ | 既存のWindows EFI | 結果 |
|---|---|---|---|
| Pop!_OS | 最低 1GB | 105MB | ❌ 不足 |
| Ubuntu | 512MB推奨 | 105MB | ⚠️ 動作するが推奨外 |
| Windows | 100MB | 105MB | ✅ 問題なし |
Pop!_OSは、GTX 10シリーズ以前のGPUには通常版(Intel/AMD版)が推奨されており、GTX 16シリーズ以降がNVIDIA版の対象となっています。
解決手順
Step 1: GPartedでパーティション再構成
Pop!_OSインストーラーから「Modify Partitions…」を選択すると、GPartedが起動します。
作業内容:
- 古いUbuntuパーティション(/dev/sda5)を削除
- 未割り当て領域に2つの新規パーティションを作成:
| 新パーティション | サイズ | FS | 用途 |
|---|---|---|---|
| /dev/sda5 | 1GB | fat32 | Pop!_OS用EFI |
| /dev/sda6 | 残り全部 | ext4 | Pop!_OSルート |
- GPartedの変更を適用(緑のチェックマーク)
Step 2: インストーラーでマウント設定
| パーティション | 設定 | Format |
|---|---|---|
| /dev/sda1 (Windows EFI, 105MB) | 無視 (Use partition: OFF) | – |
| /dev/sda5 (1GB fat32) | Boot (/boot/efi) | ✅ ON |
| /dev/sda6 (残り ext4) | Root (/) | ✅ ON |
この設定により、ようやく「Erase and Install」ボタンが有効化され、インストールに成功しました。
重要ポイント: デュアルブート環境では、EFIパーティションは最低でも1GB確保することを強く推奨します。
4. Windowsブートメニュー問題と実用的な解決策
新たな問題の発見
Pop!_OSのインストールは成功しましたが、再起動後に新たな問題が発生:
- 起動時にスペースキーを押してもWindowsが選択肢に出てこない
- Pop!_OSしか起動できない
原因:systemd-bootの特性
Pop!_OSは、Ubuntuで使われている GRUB とは異なる systemd-boot というブートローダーを使用しています。
2つのブートローダーの違い:
| ブートローダー | 特徴 | 他のOS検出 |
|---|---|---|
| GRUB (Ubuntu) | 多機能、柔軟os-proberで自動検出 | ✅ 自動 |
| systemd-boot (Pop!_OS) | シンプル、軽量 手動設定が必要 | ❌ 手動 |
さらに、パーティション構成の問題もありました:
| パーティション | サイズ | 内容 | マウント状況 |
|---|---|---|---|
| /dev/sda1 | 105MB | Windowsブートローダー | Pop!_OSから未使用 |
| /dev/sda5 | 1GB | Pop!_OSブートローダー | /boot/efi にマウント中 |
systemd-bootは、現在マウントしているEFIパーティション(/dev/sda5) からしか起動できないため、別パーティションにあるWindowsブートローダーが見えなかったのです。
解決手順
Step 1: Windows EFIパーティションをマウント
# 一時マウントポイント作成
sudo mkdir -p /mnt/windows-efi
# Windows EFIパーティションをマウント
sudo mount /dev/sda1 /mnt/windows-efi
# Windowsブートローダーの存在確認
ls -la /mnt/windows-efi/EFI/Microsoft/Boot/
# → bootmgfw.efi を確認
Step 2: WindowsブートローダーをコピーPop!_OS EFIにコピー
# Pop!_OSのEFIパーティションにWindowsブートローダーをコピー
sudo cp -r /mnt/windows-efi/EFI/Microsoft /boot/efi/EFI/
# コピー確認
ls -la /boot/efi/EFI/Microsoft/Boot/
# アンマウント
sudo umount /mnt/windows-efi
Step 3: systemd-bootの自動検出を確認
# ブートエントリを確認
bootctl list
結果:
type: Boot Loader Specification Type #1 (.conf)
title: Pop!_OS (default) (selected)
...
type: Automatic
title: Windows Boot Manager ← 自動検出された!
id: auto-windows
驚いたことに、systemd-bootが /boot/efi/EFI/Microsoft/Boot/bootmgfw.efi を自動的に検出し、auto-windows として登録してくれました。
手動でエントリファイル(windows.conf)を作成する必要はありませんでした。
再起動後、スペースキー長押しでブートメニューに Pop!_OS と Windows Boot Manager が表示されることを確認しました。
この解決策の価値
実は、この「Windowsブートローダーをコピーしてsystemd-bootに認識させる」方法は、Pop!_OSでデュアルブートを実現する実用的な解決策として価値があります。
メリット:
- ✅ 手動エントリ作成不要(systemd-bootが自動検出)
- ✅ 一度設定すれば、その後の更新で壊れにくい
- ✅ GRUBに比べてシンプルな構成
- ✅ Pop!_OSの利点(タイリングWM、COSMIC等)を活かしつつデュアルブート可能
注意点:
- ⚠️ WindowsやPop!_OSの大型アップデート後は、念のため確認が必要
- ⚠️ 初回設定時にコマンドラインでの作業が必要(初心者には少しハードルが高い)
こんな人におすすめ:
- Pop!_OSの機能に魅力を感じているが、Windowsも必要な方
- 最新のNVIDIA GPU(RTX 20シリーズ以降)を使っている方
- コマンドライン操作に抵抗がない方
この方法を使えば、Pop!_OSの「デュアルブートが面倒」という唯一の大きな欠点を克服できます。
教訓: systemd-bootでのデュアルブートは、この方法を知っていれば十分実用的です。ただし、初心者やトラブルを避けたい場合は、GRUBを使うUbuntuの方が無難です。
5. NVIDIAドライバー問題:決定的な転換点
問題の発見
デュアルブートの設定に成功し、一安心したのもつかの間。Pop!_OSの起動後、画面表示に問題が発生しました:
- グラフィックがおかしい
- NVIDIAドライバーが正常に動作していない
対処の試行
方法1: Pop!_OS公式ドライバー
sudo apt update
sudo apt install system76-driver-nvidia
結果: ❌ GTX 1070 Ti(Pascal世代)が対応していない
調査したところ、Pop!_OSのNVIDIA版は「GTX 16シリーズ以降」を対象としており、GTX 10シリーズは通常版(Intel/AMD版)の対象であることが判明しました。
つまり、私のGTX 1070 TiはPop!_OSの system76-driver-nvidia パッケージの対象外だったのです。
方法2: Ubuntu標準リポジトリのドライバー
# 利用可能なドライバーを確認
ubuntu-drivers devices
# 最新ドライバーをインストール(候補:nvidia-driver-580)
sudo apt install nvidia-driver-580
検討結果:
Pop!_OSでもUbuntu標準リポジトリから nvidia-driver-580 をインストールすれば動作する可能性は高いです。
しかし、ここで重要な疑問が浮かびました:
「Pop!_OS独自ドライバーが使えないなら、Pop!_OSを選ぶメリットは?」
さらに、NVIDIAはPascal世代(GTX 900/10シリーズ)向けのドライバーについて、バージョン580が最終版になることを発表しています。
方針転換の理由
ここで、Pop!_OSとUbuntuを改めて比較しました:
| 項目 | Pop!_OS | Ubuntu 25.10 |
|---|---|---|
| ブートローダー | systemd-boot (Windowsを手動設定) | GRUB (自動検出) |
| NVIDIAドライバー | system76独自 (GTX 16シリーズ以降) ※標準リポジトリから580は可能 | Ubuntu標準 (nvidia-driver-580対応) |
| セキュアブート | ❌ 非対応 | ✅ 対応 |
| EFIパーティション要件 | 最低1GB | 標準的なサイズでOK |
| デュアルブート難易度 | 高(手動設定必要) | 低(自動検出) |
| 対象GPU | GTX 16シリーズ以降 | 幅広く対応 |
結論:
system76独自ドライバーが使えず、デュアルブート設定も手動で煩雑。それならUbuntuで良いのでは?
というわけで、方針転換を決断しました。
6. Ubuntu 25.10:最終的な解決
インストール結果
トラブルなし! すべてスムーズに完了しました。
Ubuntu 25.10(コードネーム「Questing Quokka」)は2025年10月9日にリリースされ、GNOME 49、Linux 6.17カーネル、Mesa 25.2グラフィックスドライバーを搭載しています。
Ubuntu 25.10の利点
1. デュアルブート設定が自動
- GRUBが自動的にWindowsを検出
os-proberがWindowsブートローダーを見つけて自動登録- 手動でブートローダーをコピーする必要なし
2. NVIDIAドライバーが標準対応
# インストール直後に実行
sudo ubuntu-drivers autoinstall
# または
sudo apt install nvidia-driver-580
実際の結果: GTX 1070 Tiが nvidia-driver-580 で正常に動作しました!
nvidia-driver-580はPascal世代(GTX 10シリーズ)向けの最終バージョンですが、現時点では完全にサポートされています。
3. EFIパーティション要件が柔軟
- 既存の105MB EFIパーティションでも動作可能
- Pop!_OSのように1GB必須ではない
- 既存のWindows EFIパーティションを共有できる
4. セキュアブート対応
- 必要に応じてセキュアブートを有効にできる
- Pop!_OSのような制約なし
最終的なパーティション構成
実際には、Pop!_OS用に作成した1GB EFIパーティション(sda5)は削除し、よりシンプルな構成にしました:
| デバイス | サイズ | FS | 用途 | 備考 |
|---|---|---|---|---|
| /dev/sda1 | 105MB | vfat | 共有EFI (Windows + Ubuntu) | /boot/efi にマウント |
| /dev/sda2 | – | NTFS | Windows本体 | – |
| /dev/sda5 | 残り全部 | ext4 | Ubuntuルート | / にマウント |
ポイント:
- Pop!_OSで作成したsda5(1GB EFI)とsda6(ルート)を削除
- 未割り当て領域を統合して、1つの大きなsda5(Ubuntuルート)として再作成
- Ubuntuのブートローダーは既存のWindows EFI(sda1)に共存させる形でインストール
この構成により、EFIパーティションを共有することで管理がシンプルになり、ストレージも効率的に使えます。
7. Pop!_OS vs Ubuntu:徹底比較
機能比較表
| 項目 | Pop!_OS | Ubuntu 25.10 |
|---|---|---|
| ベース | Ubuntu | Debian |
| デスクトップ環境 | COSMIC(開発中) または GNOME | GNOME 47 |
| ブートローダー | systemd-boot | GRUB |
| セキュアブート | ❌ 非対応 | ✅ 対応 |
| デュアルブート | 手動設定必要 (※この記事の方法で実用化可能) | 自動検出 |
| NVIDIAドライバー | system76独自 (GTX 16シリーズ以降) ※標準リポジトリから580も可 | Ubuntu標準 nvidia-driver-580 |
| タイリングWM | ✅ 標準搭載 | ❌ 拡張機能で追加可能 |
| 対象ユーザー | 開発者・上級者 新しいGPU所有者 | 一般ユーザー 幅広いハードウェア |
Pop!_OSを選ぶべきケース
✅ 以下の条件を満たす場合にPop!_OSがおすすめ:
- RTX 20/30/40シリーズなど新しいNVIDIA GPU(system76ドライバーの恩恵)
- Linuxに詳しく、トラブルシューティングに抵抗がない
- COSMICデスクトップ環境に興味がある
- タイリングウィンドウマネージャーを標準で使いたい
- シングルブート(Linuxのみ)
- systemd-bootを使いたい
- デュアルブート環境 + 手動設定OK:この記事で紹介したWindowsブートローダーコピー方法を使えば、デュアルブートも実用的に運用可能
重要な補足:
この記事で紹介した「Windowsブートローダーをコピーする」方法を知っていれば、Pop!_OSでのデュアルブートは十分実用的です。最新のNVIDIA GPUユーザーで、Pop!_OSの機能に魅力を感じる方は、この方法で快適なデュアルブート環境を構築できます。
Ubuntuを選ぶべきケース
✅ 以下の条件を満たす場合にUbuntuがおすすめ:
- GTX 10/16シリーズなど古めのNVIDIA GPU
- デュアルブート環境(特にWindows併用)
- 安定性と互換性を重視
- トラブルなくスムーズにインストールしたい
- セキュアブートを有効にしたい
- 幅広いハードウェアサポートが必要
8. 学んだことと今後の参考
重要な教訓
1. EFIパーティションサイズの重要性
| ディストリビューション | 最低要件 | 実際の動作 | 推奨 |
|---|---|---|---|
| Windows | 100MB | ✅ 105MBで動作 | 300MB |
| Ubuntu(GRUB) | 100MB程度 | ✅ 105MBで動作 | 512MB〜1GB |
| Pop!_OS(systemd-boot) | 1GB | ❌ 105MBでは不足 | 1GB以上 |
ポイント:
- Ubuntuは既存の105MB EFIパーティションでも問題なく動作します(GRUBが効率的)
- Pop!_OSは1GB以上のEFIパーティションが必須
- 新規インストール時は将来を見越して 512MB〜1GB を確保すると安心
- デュアルブート環境では、Windowsとブートローダーを共有できるため、小さいEFIパーティションでも運用可能
2. ブートローダーの違い
| ブートローダー | 特徴 | デュアルブート |
|---|---|---|
| GRUB | 多機能、柔軟os-proberで他OS自動検出 | ✅ 簡単 |
| systemd-boot | シンプル、軽量 手動設定が必要 | ⚠️ 要手動設定 (コピー方法で実用可能) |
ポイント: デュアルブート初心者は GRUB(Ubuntu) が無難です。ただし、この記事で紹介した「Windowsブートローダーコピー」方法を使えば、systemd-bootでも実用的なデュアルブート環境を構築できます。
3. NVIDIAドライバーの互換性
| GPU世代 | Pop!_OS system76-driver-nvidia | Ubuntu標準 nvidia-driver-580 |
|---|---|---|
| RTX 40シリーズ | ✅ 最適化済み | ✅ 対応 |
| RTX 30シリーズ | ✅ 対応 | ✅ 対応 |
| RTX 20シリーズ | ✅ 対応 | ✅ 対応 |
| GTX 16シリーズ | ✅ NVIDIA版の対象 | ✅ 対応 |
| GTX 10シリーズ (Pascal世代) | ⚠️ 通常版推奨 ※標準リポジトリから580は可 | ✅ nvidia-driver-580で対応 |
ポイント:
- Pop!_OSのNVIDIA版はGTX 16シリーズ以降が対象で、GTX 10シリーズは通常版(Intel/AMD版)が推奨されています
- Pascal世代(GTX 10シリーズ)は、nvidia-driver-580が最終バージョンとなります
- Pop!_OSでもUbuntu標準リポジトリから
nvidia-driver-580をインストールすれば動作しますが、system76独自の最適化は受けられません - 最新GPU(RTX 20以降)なら Pop!_OSのsystem76ドライバーが最適化されていてメリットがあります
4. ISOイメージの検証
# 必ずハッシュ値を確認
sha256sum downloaded-image.iso
# 公式サイトの値と照合
ポイント: ダウンロードエラーやUSB書き込みエラーは頻繁に発生します。トラブルの原因切り分けのため、最初にISO検証を実施しましょう。
5. USB書き込みツールの選択
| ツール | 信頼性 | 用途 |
|---|---|---|
| balenaEtcher | ⭐⭐⭐⭐⭐ | Linux ISO全般(推奨) |
| Rufus | ⭐⭐⭐⭐ | Windows環境で便利 |
dd コマンド | ⭐⭐⭐ | 上級者向け |
ポイント: 初心者は balenaEtcher が確実です。
トラブルシューティングチェックリスト
デュアルブートインストールで問題が発生した場合、以下を確認してください:
□ ISOイメージのハッシュ値を確認したか?
□ USBメモリを別のツールで再作成してみたか?
□ BIOS/UEFI設定を確認したか?
□ UEFIモードになっているか?
□ セキュアブート設定は正しいか?
□ 起動順序は正しいか?
□ EFIパーティションサイズは十分か?(最低1GB推奨)
□ GPT/MBRパーティション形式は統一されているか?
□ 使用しているGPUは選択したディストリビューションの推奨ドライバーでサポートされているか?
□ Pop!_OSでデュアルブートする場合、Windowsブートローダーのコピーは完了したか?
□ systemd-bootでWindowsが表示されるか確認したか?
今後のメンテナンス
Ubuntu 25.10での推奨設定
# システム更新
sudo apt update && sudo apt upgrade
# NVIDIAドライバーの確認
nvidia-smi
# GRUBの設定(必要に応じて)
sudo nano /etc/default/grub
# GRUB_TIMEOUT=10 など調整
sudo update-grub
# Windows/Ubuntuの時刻ズレ対策
sudo timedatectl set-local-rtc 1 --adjust-system-clock
定期的な確認事項
| 項目 | コマンド | 頻度 |
|---|---|---|
| システム更新 | sudo apt update && sudo apt upgrade | 週1回 |
| NVIDIAドライバー | nvidia-smi | 月1回 |
| ディスク容量 | df -h | 月1回 |
| GRUBエントリ | cat /boot/grub/grub.cfg | grep menuentry | 大型更新後 |
まとめ:最終的な判断と学び
作業の流れ
1. Pop!_OSインストール試行
↓
2. EFIパーティション問題に直面
↓ (1GB EFIパーティション作成で解決)
3. インストール成功
↓
4. Windowsブートメニュー問題
↓ (手動でブートローダーコピー)
5. デュアルブート成功
↓
6. NVIDIAドライバー非対応問題
↓ (system76独自ドライバーがGTX 1070 Ti未対応と判明)
7. 方針転換:Ubuntu 25.10へ
↓
8. トラブルなくインストール完了!✅
↓
9. nvidia-driver-580で正常動作確認
最終的な判断理由
Pop!_OSは素晴らしいディストリビューションですが、以下の理由でUbuntu 25.10を選択しました:
- system76独自ドライバー非対応: GTX 1070 TiはPascal世代のため、Pop!_OSのNVIDIA版ではなく通常版が推奨対象
- 標準リポジトリからnvidia-driver-580をインストールすれば動作するものの、system76独自の最適化が受けられない
- デュアルブートの簡便性: GRUBによる自動検出 vs systemd-bootの手動設定
- 安定性と互換性: 幅広いハードウェアサポート
- トラブルフリー: 追加設定なしでスムーズに動作
- 実際の動作確認: Ubuntu 25.10で nvidia-driver-580(Pascal世代向け最終バージョン) が完璧に動作
- EFIパーティション共有: 既存の105MB EFIパーティションをWindowsと共有でき、管理がシンプル
最後に:この経験から学んだこと
「最新のディストリビューション = 自分に最適」とは限らない
自分のハードウェア構成、使用目的、技術レベルに合わせて選択することが重要です。
特にデュアルブート環境では、ブートローダーの違い(GRUB vs systemd-boot)が使い勝手に大きく影響します。
具体的な選択基準:
- 新しいNVIDIA GPU(RTX 20以降) + シングルブート → Pop!_OSがおすすめ
- 新しいNVIDIA GPU(RTX 20以降) + デュアルブート + コマンド操作OK → Pop!_OS(この記事の解決策を利用)
- 古いNVIDIA GPU(GTX 10シリーズ以前) または デュアルブート初心者 → Ubuntuがおすすめ
重要な発見:
この記事で紹介した「Windowsブートローダーをコピーする」方法は、Pop!_OSの「デュアルブートが面倒」という最大の欠点を克服できます。最新GPUユーザーで、Pop!_OSの機能(タイリングWM、system76ドライバー最適化など)に魅力を感じる方にとっては、十分実用的な選択肢となります。
この記事が、デュアルブート環境構築で迷っている方の参考になれば幸いです。
参考文献・出典
- System76 – Pop!_OS Download. https://system76.com/pop/download/
- Canonical – Ubuntu 25.10 Release. https://canonical.com/blog/canonical-releases-ubuntu-25-10-questing-quokka
- OMG! Ubuntu – Ubuntu 25.10 Features. https://www.omgubuntu.co.uk/2025/10/ubuntu-25-10-new-features
- AUTOMATON – NVIDIAドライバーサポート終了のお知らせ. https://automaton-media.com/articles/newsjp/nvidia-geforce-gtx-1070-ti-20250701-346881/
- Ubuntu Release Cycle. https://ubuntu.com/about/release-cycle
記事作成日: 2025年10月27日
対象バージョン: Ubuntu 25.10 (Questing Quokka), Pop!_OS 22.04
最終更新: 2025年10月27日

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