気づいたら Firefox を使う時間が増えていた
最近、気づいたら Firefox を開いている時間が増えていました。
以前はメインブラウザが転々としていました。Vivaldi のタブ管理機能に感心して数年使い、その後 Chrome や Edge に移り、なんとなく「用途で使い分ける」という曖昧な状態が長く続いていました。Firefox は「たまに起動するブラウザ」の位置づけで、積極的に選ぶものではなかったと思います。
明確に乗り換えたわけではないんです。ただ、「Firefox の方が楽だな」という感覚が日々少しずつ積み重なって、気づいたらメインに近い使い方になっていました。
Vivaldi も結局、機能が増えすぎて重くなった
きっかけのひとつは、Vivaldi が自分には重く感じるようになったことでした。
最初は「タブ管理に強いブラウザ」として気に入っていたのですが、バージョンを重ねるたびに機能が増えていきました。メール機能、カレンダー、フィードリーダー。それぞれは便利な人には便利なはずですが、自分はブラウザにそこまで求めていなかった。気づいたら起動が遅く、メモリも食うようになっていた印象です。
これは Vivaldi だけの話ではないと思います。Chrome も Edge もどんどん機能が増えています。ブラウザという道具が、「Web ページを表示するもの」から「総合プラットフォーム」へと役割を広げてきている。便利になっている一方で、肥大化しているのも事実だと感じます。
最近の Web、単純に重すぎる
ブラウザ側の話だけではなく、Web そのものも明らかに重くなりました。
ChatGPT、Gemini、Claude。AI 系サービスを常時タブで開くのが当たり前になってから、ブラウザのメモリ使用量がそれ以前と桁が違う感覚があります。AI 前提の UI は概してリソースを使い、ページ読み込み自体も体感でわかるくらい遅い。
それ以外の普通のサイトも、コンテンツ以外のものが増えました。Cookie 同意バナー、自動再生される動画広告、画面の隅に出てくるチャットボット、コンテンツ推薦のオーバーレイ。本来読みたい情報にたどり着くまでに、やることが多すぎる。
Web は今やノイズの塊になっている気がします。情報を探しに行ったはずなのに、情報にたどり着けない。この感覚が、ブラウザの選び方を変えた一番の理由かもしれません。
Firefox は AI を「強制してこない」
Firefox を使い続けていて一番ありがたいのは、AI 機能を強制してこないことです。
Chrome や Edge を開くと、新しいタブのページや右クリックメニュー、サイドバーに AI 機能が少しずつ増えてきています。便利な人には便利なのでしょうが、自分はその機能を求めていないときに目に入ること自体がノイズに感じていました。「使わない選択」をしたつもりでも、UI のあちこちで存在を主張してくる感覚があります。
Firefox にも AI 関連の動きはあります。サイドバーで Web 版の AI サービスを開ける機能があって、たまに使うと普通に便利です。ただ、これはあくまで「使いたい人が開く」設計に留まっていて、使わない人の画面には入ってきません。サイドバーで AI を並べたいときは並べる、要らないときは存在を忘れていられる。この距離感がちょうどいいと感じます。
そもそも、AI を使いたいなら ChatGPT や Claude をタブで開けば済む話で、ブラウザ自体が AI を主張してくる必要はあまりない、というのが今のところの感想です。「派手に速い」より「静かに動く」方が、長時間の作業には効いてきます。
uBlock Origin がちゃんと動く安心感
Firefox を選ぶ実用的な理由として、uBlock Origin がちゃんと動くことは大きいです。
Chrome では拡張機能の仕様変更(Manifest V3 への移行)によって、広告ブロッカーのリクエストブロック能力に影響が出ています。Firefox は引き続き従来の仕様で動く uBlock Origin が利用でき、広告とトラッキングのブロック精度が高い状態を維持できています。詳しい経緯は Mozilla の公式アナウンス などにまとまっています。
体感の違いは明確です。uBlock Origin が効いているページとそうでないページでは、読み込み速度も視覚的なノイズもまるで違う。広告だらけのニュースサイトが普通に読めるようになり、誤タップを誘導する偽の「ダウンロード」ボタンに引っかかることもない。情報にたどり着くまでの摩擦が一段下がる感覚です。
広告そのものを否定する気はないのですが、「これを見せられて誰が嬉しいんだろう」と感じる広告が多すぎる印象もあります。Web を快適に読むためのコストとして、ブロッカーが効くブラウザを選ぶのは合理的な判断だと考えています。
Multi-Account Containers が想像以上に便利
もう一つ手放せなくなっているのが Multi-Account Containers です。タブごとに Cookie やセッションを完全に分離できる Firefox 公式の拡張機能で、これは生活を結構変えました。
恩恵は大きく二つあります。
ひとつは、AI 系の重いサイトを別コンテナに閉じ込められること。ChatGPT、Gemini、Claude のような重量級サイトを「AI 用コンテナ」にまとめておくと、メイン作業のタブから影響を切り分けられる感覚があります。重いタブが軽いタブを巻き込まない、という安心感です。
もうひとつは、アカウント事故の予防です。Google アカウントを複数持っている人は多いと思います。仕事用、個人用、開発用。ヘビーユーザーになるほど「今どのアカウントでログインしているか分からなくなる」という事故が起きます。コンテナで「このコンテナ = このアカウント」と固定しておくと、この種のミスがほぼなくなります。
地味ですが、ブラウザの中でアカウントを混乱なく扱えることの価値は、思っていたよりずっと大きかったです。
Linux・WSL で「こちらが動かしている」感
普段の開発環境が Ubuntu と WSL2 中心であることも、Firefox との相性を後押ししています。
Ubuntu ではデスクトップ版に Firefox がデフォルトで載っています。長年そこに居続けているブラウザという感じで、tmux や vim と同じ文脈で「最初からそこにある道具」として馴染んでいます。アップデートのタイミングで突然 UI が大きく変わって戸惑う、ということもあまりありません。
うまく言語化しづらいのですが、Firefox を使っているときは「こちらがブラウザを動かしている」感覚があります。Chrome や Edge を使っていると、向こうから提案や通知が来て、それに反応して使っている感覚に近くなるときがある。同じブラウザという道具なのに、主導権の所在が少し違って感じられる。
これは技術的な優劣の話ではなく、性格の相性に近い話だと思います。CLI 文化に慣れていると、勝手に変わらない道具の方が落ち着く、というだけかもしれません。
もちろん万能ではありません
Firefox を持ち上げてきましたが、万能ではないこともはっきり書いておきます。
特に銀行や行政系のサイトでは、Chromium 系を前提とした作りになっているものがあり、Firefox では表示が崩れたり、機能が動かなかったりすることがあります。普段は Firefox で問題ないのですが、年に何回か「これは Edge で開き直そう」となる場面はあります。
ただ、致命的な不便というほどでもありません。大半のサイトは普通に動きますし、いざというときに Chromium 系ブラウザがあれば困ることはほぼない。「メインは Firefox、必要なときだけ Chromium 系」という割り切りで、日常的に困った記憶はあまりありません。
すべてを一つで済ませようとせず、必要に応じて使い分ければ十分だと思っています。
最強ブラウザではない、でも長く使うならかなり良い
Firefox は最速のブラウザではありません。ベンチマークでは Chrome に負ける場面もありますし、表示できないサイトもあります。それでも、最近の自分には Firefox がちょうどよく感じます。
理由を整理すると、「Web そのものが重くノイズだらけになっている」という前提があって、その上で「ブラウザが余計なことをしてこない」「ブロッカーが効く」「コンテナで隔離できる」という Firefox の特徴が効いている、という構図です。速さで戦うのではなく、ノイズを減らす方向で快適さを稼いでいる印象。
合う人には合うブラウザだと思います。最近の Web に疲れている人や、ブラウザを「派手な機能」より「静かな道具」として使いたい人には、一度メインで使ってみる価値があるかもしれません。
私自身は当面、Firefox の使用時間がもう少し増えそうな気がしています。

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