kurabebako は、AI が実際に API や CLI を動かして検証した結果をもとにサービスを比較するサイトで、企画・調査・執筆・検証を AI(Claude Code)に任せる実験として運営しています。公開から 1 か月、検索にはかなり早く載りましたが、広告のクリックは 0 回でした。
この記事では、数字を AI と眺めて見えてきた「壁」と、AI 2 つと私で方針を話し合って、読者像を変えることにした経緯を書きます。「AI に任せる」の中身が、1 か月でだいぶ見えてきました。
前回のログで、「次は ASP の申請が通って広告を載せたとき、か、3か月のチェックポイントのどちらか早いほうで書く」と予告しました。ASP(広告案件を仲介する会社)の申請は、その記事を書いたその日に通っています。広告を載せて 3 週間、公開から 1 か月で、数字が一巡しました。

1週間目からの変化
前回は公開 1 週間で記事 6 本でした。1 か月でこうなっています。
| 項目 | 1週間目(9/8) | 1か月目(10/3) |
|---|---|---|
| 公開記事 | 6本 | 12本 |
| サイト本体のコミット | 43 | 132 |
| AIが実際に動かして検証した対象 | 13 | 25 |
| 提携した広告案件 | 0 | 11(国内 ASP 9、海外の自社プログラム 2) |
| 広告リンクのある記事 | 0本 | 4本 |
| 検証用VPSの請求 | 1.65円(暫定) | 9月分の確定 1円(クーポンで実支払い 0円) |
広告は、国内の ASP に登録して 2 日で 8 案件が承認され(その後 1 件増えて、現在は 9 件)、スクレイピング API の会社 2 社の自社プログラムも通りました。
ランキングの順位は記事の比較結果で決めて、報酬額では並べ替えないルールにしています。AI が勝手に高単価の案件を上に置かないよう、ここは最初に決めておきました。
ちなみに 1 社、「流入の質が低い」という理由で審査に落ちています。公開 2 週間のサイトですから、まあそうですよね。
1か月目の検索と広告の数字
| 項目 | 9月の値 |
|---|---|
| Googleにインデックスされた記事 | 11本中11本(10月2日時点。12本目は10月3日公開) |
| 検索結果に表示された回数 | 206回 |
| 検索からのクリック | 7回 |
| 平均掲載順位 | 11位 |
| 広告の表示回数 | 219回 |
| 広告のクリック | 0回 |
検索の数字は Google Search Console、広告の表示回数とクリックは ASP(A8)の管理画面の値です。10 月 4 日の時点でも、クリックは 0 回のままです。
新しいドメインは、3〜6 か月はインデックスも流入もほぼゼロ、と言われることが多いです(出典を示せる話ではなく、よく聞く目安として書いています)。
それに比べると、公開 2 日目に検索結果へ出て、1 か月で全記事がインデックスされたのは、正直かなり早いと感じました。
一方で、表示の 4 割以上を 1 本(静的サイトの無料ホスティング比較)が稼いでいて、残りはまだ横並び。クリック 7 回は、まあ、そんなものです。
見えてきた壁は「買わない読者を集めている」こと
この数字を AI と一緒に眺めていたとき、Claude が指摘したのがこれでした。
本当の壁はインデックスでも流入でもなく、CV(成約)です。
CV は、広告経由で申し込みや購入が実際に起きることです。
実験には 3 か月・6 か月・12 か月のチェックポイントを置いています。3 か月目は「インデックスされるか」、6 か月目は「検索流入が出るか」、12 か月目は「コストを回収して成約が 1 件以上出るか」です。
前の 2 つは、1 か月目の数字を見るともう通過しそうに見えます(まだ 1 か月なので、油断はできませんが)。問題は最後の 1 つで、ここに構造的な不利が 3 つ重なっていました。
1つ目。流入と広告がすれ違っている。
表示が多い記事は「無料ホスティング」の比較で、無料のサービスには広告案件がありません。広告が置けるレンタルサーバーや VPS の記事は、順位は 6 位前後まで来ているのに、表示回数がまだ少ない状態です。
2つ目。「無料枠比較」は買わない読者を集める。
12 本のうち 8 本がタイトルから「○○の無料枠比較」で、残りの 4 本も最小プランや無料で始められる範囲を軸にしています。無料で使える範囲を探している人は、有料契約からいちばん遠い読者ですよね。
広告が 219 回表示されてクリック 0 という数字は、この見立てと矛盾しません。ただ、219 回という母数は小さく、0 回の理由が読者層なのか、広告の置き場所や見え方なのかは、この数字だけでは切り分けられません。
3つ目。次に書くネタの収益性が伸びない。
AI が毎日ネタ探しをして候補に点数を付けているのですが、点数の高い候補はどれも「広告案件が無い」か「法人向けで個人では試せない」のどちらかに寄っていました。
AI 2つと話し合って、読者像を変えた
ここからが、この 1 か月でいちばん面白かったところです。
Codex との雑談で出た「一般の人に寄せる」
前回のログの後、ネタ探しの定期タスクは Claude と Codex の 2 つの AI に、同じ手順書で並行して走らせています。その Codex と雑談していて、私はこう言いました。
もうちょっと開発者よりも一般に寄せても良いかなとは思う。AI を使うという前提に立つと、アカウントを作ればここまではできるよ、という感じで比較
kurabebako の記事は「API や CLI で何ができるか」を軸にしていて、読者は開発者を想定していました。でも、いま AI にいろいろ頼みたい人は開発者だけではないんですよね。
「ホームページを公開したい」「ファイルを整理したい」「メルマガを送りたい」。そういう人が、アカウントを作って最低限の準備をしたら、あとは AI にどこまで任せられるのか。
Codex はこれを「あなたがすること → AI に任せられたこと → 自分の操作が残るところ」という比較の軸に整理して、メモに残してくれました。いまの記事の検証データ(AI が実際に API を動かした記録)は、そのまま「どこまで任せられるか」の根拠に使えます。
Claude がデータと突き合わせて出した 3 つの指摘
次に、この合意メモを Claude に読ませました。Claude は 1 か月分の観測データと実験の判定基準を持っているので、方針の整合性を見てもらう役です。返ってきたのは、賛成と、3 つの指摘でした。
- 噛み合っている点。 新しい読者像は、新しい記事を書かなくても、既存記事の結論とタイトルを書き換えるだけで試せる。Codex が挙げた例(ホームページ公開、ファイル整理、メルマガ)は既存の 3 記事に 1 対 1 で対応している
- ずれている点。 Claude 自身が直前に「次に書く 1 本」として推していた AI コーディング CLI の比較は、開発者向けで新しい読者像と方向が違う。優先順位を下げるべき
- 足りない点。 読者像を変えると、狙う検索語の形も変わる。書き換えた記事には新しい形の想定クエリを事前に記録しておかないと、90 日後に転換の良し悪しを判定できない
最初の反応は「賛成」でしたが、迎合という印象は受けませんでした。「話は分かる。でも、ここはずれる」という返し方で、しかも自分が直前に推していた案を、自分で下げたのです。人間の会議だと、自分の案を自分で引っ込めるのはなかなか難しいものです。
決めたこと、決めなかったこと
話し合いの結果、2 か月目の方針はこうなりました。
決めたこと
- 記事の配分を「無料枠の比較」から「有料に移る分かれ目」と「国内に広告案件がある領域」へ寄せる
- 広告のある既存記事(レンタルサーバー、VPS)を「AI に任せるなら」の軸で書き直し、新しい読者像の実験台にする
- 広告リンクのクリックを自前で計測できるようにして、クリック 0 の原因を切り分ける
- このログを続ける
決めなかったこと
- サイトの方針書(VISION)はまだ書き換えない。既存記事 2〜3 本で反応を見てから判断する
- ニュースレターや有料コンテンツなど、収益化の別ルートは 6 か月目まで動かさない
1か月やってみて思うこと
前回は「書かせるより止める仕組み」が発見でした。今回の発見は、どこを目指すかは AI だけでは決まらないということです。
作業そのものは、思ったよりちゃんと出てきます。読者の方から「比較表と各社の説明と用途別の選び方で情報が重なって、通読すると重い」という意見をもらったときは、AI が 12 本の記事の節ごとの文字数を測って、同じ数字が 1 記事に 5〜7 回出ていることを突き止め、その日のうちに 12 本すべてを書き直しました。手作業よりずっと速く終わりました。
でも、データを読んで「壁は CV だ」と言えても、「じゃあ読者を変えよう」という方向転換は、私が雑談でぽろっと言ったことがきっかけでした。そしてその雑談を、別の AI が実験の制約と突き合わせて、矛盾と欠けを拾ってくれる。
作業は任せられる。判断の材料も出してくれる。でも、どこへ向かうかを決めて、その決定を記録に残すところは、まだ人間の仕事のようです。
次のログは、12 月頭の 3 か月チェックポイントの手前で書く予定です。書き直した記事で狙う検索語が変わるのか、広告のクリックが 0 から動くのか。そこを見ます。

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