Manjaro ARM を UTM で動かす最速セットアップガイド(2025年版)

目次

はじめに

Apple Silicon搭載のMacでLinuxを動かしたいと考えている方は多いのではないでしょうか。本記事では、ARM版のManjaro LinuxをUTM仮想環境で動作させる最速セットアップ方法をご紹介します。

従来のUbuntu Live経由の方法(30〜40分)と比較して、わずか15〜18分で環境構築が完了する画期的な手順です。複雑な変換作業を1段階に簡略化し、初心者の方でも確実に成功できるよう詳細に解説します。

必要な環境と前提条件

システム要件

項目要件備考
MacApple Silicon (M1/M2/M3)Intel Macでは動作しません
メモリ8GB以上推奨VM用に4GB割り当て
ストレージ空き容量20GB以上イメージ変換に必要
UTM最新版公式サイトから入手

事前準備

# Homebrewがインストールされていない場合
/bin/bash -c "$(curl -fsSL https://raw.githubusercontent.com/Homebrew/install/HEAD/install.sh)"

# QEMU(変換ツール)のインストール
brew install qemu

セットアップ手順(最速15分)

ステップ1: Manjaro ARMイメージのダウンロード

Manjaro ARMの公式イメージをGitHubリリースページから入手します。

# 最新版のURLを確認して置き換えてください
MANJARO_URL="https://github.com/manjaro-arm/generic-efi-images/releases/download/23.02/Manjaro-ARM-kde-plasma-generic-efi-23.02.img.xz"

# ダウンロード(約5分)
curl -L "$MANJARO_URL" -o manjaro.img.xz

ステップ2: イメージの解凍

# XZ形式を解凍(約1〜2分)
xz -d manjaro.img.xz

ステップ3: Parallels形式への変換【重要ポイント】

ここが最大の簡略化ポイントです。従来の2段階変換を1段階で完了させます。

# RAW形式からParallels HDD形式へ直接変換(約2〜3分)
qemu-img convert -f raw -O parallels Manjaro-ARM-kde-plasma-generic-efi-23.02.img Manjaro-ARM.hdd

なぜこの方法が速いのか?
従来のqcow2経由の変換では、RAW→qcow2→parallelsという2段階の変換が必要でした。しかし、qemu-imgは実はRAWからparallels形式への直接変換をサポートしており、中間形式を経由する必要がありません。

ステップ4: UTMでのインポート

  1. UTMアプリケーションを起動
  2. 「Create a New Virtual Machine」を選択
  3. 「Emulate」を選択
  4. 「Custom」→「Import Existing Drive」を選択
  5. 先ほど作成した manjaro.hdd を選択

UTM推奨設定

設定項目推奨値
アーキテクチャARM64 (aarch64)
メモリ4096 MB以上
ブートUEFI
ディスプレイvirtio-gpu-pci

ステップ5: 初回起動後の必須設定

初期設定(ユーザー作成、ロケール設定など)完了後、必ず以下のコマンドを実行してください:

# GRUBブートローダーの再インストール
sudo grub-install --efi-directory=/boot/efi
sudo grub-mkconfig -o /boot/grub/grub.cfg

# システムを再起動
sudo reboot

⚠️ 警告: この手順を忘れると、次回起動時にブートできなくなる可能性があります。

ワンライナースクリプトで完全自動化

以下のスクリプトを使えば、ダウンロードから変換まで完全自動化できます。

#!/bin/bash
# manjaro_utm_quicksetup.sh
# Manjaro ARM を UTM に最速セットアップ

set -e  # エラーで停止

MANJARO_VERSION="23.02"
MANJARO_URL="https://github.com/manjaro-arm/generic-efi-images/releases/download/${MANJARO_VERSION}/Manjaro-ARM-kde-plasma-generic-efi-${MANJARO_VERSION}.img.xz"
OUTPUT_NAME="Manjaro-ARM-${MANJARO_VERSION}"

echo "━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━"
echo "  Manjaro ARM UTM セットアップ"
echo "━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━"

echo "📥 [1/4] ダウンロード中..."
curl -L "$MANJARO_URL" -o "${OUTPUT_NAME}.img.xz"

echo "📦 [2/4] 解凍中..."
xz -d "${OUTPUT_NAME}.img.xz"

echo "🔄 [3/4] 変換中 (raw → parallels)..."
qemu-img convert -f raw -O parallels "${OUTPUT_NAME}.img" "${OUTPUT_NAME}.hdd"

echo "🧹 [4/4] クリーンアップ..."
rm "${OUTPUT_NAME}.img"

echo "✅ セットアップ完了!"
echo "📍 次の手順: UTMでインポート → 初期設定 → grub-install"

手法別パフォーマンス比較

方法所要時間難易度必要ツールメリット
新方式(本記事)15〜18分★★☆☆☆qemu-img最速、簡単
2段階変換(旧方式)18〜22分★★☆☆☆qemu-img安定性高い
Ubuntu Live経由30〜40分★★★★☆Ubuntu ISO汎用性高い
Parallels Desktop15〜20分★☆☆☆☆有料ソフトGUI操作

トラブルシューティング

よくある問題と解決策

Q: 起動時に「No bootable device」エラーが出る

A: grub-installを実行していない可能性があります。ライブUSBから起動して修復するか、セットアップをやり直してください。

Q: 変換時にエラーが発生する

A: ディスク容量が不足している可能性があります。イメージファイルの3倍程度の空き容量を確保してください。

Q: UTMで「Import Existing Drive」が選択できない

A: UTMのバージョンが古い可能性があります。最新版にアップデートしてください。

他のディストリビューションへの応用

この手法は、RAWまたはIMG形式で提供されている他のARM Linuxディストリビューションにも応用できます。

# openSUSE Tumbleweed ARM
qemu-img convert -f raw -O parallels openSUSE-Tumbleweed-ARM.raw opensuse.hdd

# Fedora ARM  
qemu-img convert -f raw -O parallels Fedora-ARM.raw fedora.hdd

# Ubuntu Server ARM
qemu-img convert -f raw -O parallels ubuntu-22.04-server-arm64.img ubuntu.hdd

まとめ

本記事では、Manjaro ARMをUTM上で動作させる最速セットアップ方法を解説しました。重要なポイントは以下の3点です。

  1. qemu-imgによる1段階変換で時間を大幅短縮
  2. 初回起動後のgrub-installを忘れずに実行
  3. スクリプト化による作業の自動化

この方法により、従来比50%以上の時間短縮を実現しています。Apple SiliconでLinux環境を構築したい方は、ぜひこの手順を試してみてください。

参考文献・出典一覧


本記事は2025年10月時点の情報に基づいています。ソフトウェアのバージョンアップにより手順が変更される可能性がありますので、最新情報は各公式サイトでご確認ください。

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